フランスベースのミドルウェアソリューションを提供する企業「Scalable Graphics」は、HTC Viveを使用したワイヤレス・ソリューションのデモンストレーション動画を公開しました。PC向けVRヘッドセットの無線伝送によるワイヤレス・ソリューションです。
ユーザーは、Viveと有線接続された「Wireless VR」と呼ばれるBox装置を肩から斜めがけに背負いプレイします。WindowsPC(Quadro M6000を使用)とは5GHz以上のWifi(一般家庭で使われているWifiは5GHz帯)で接続されています。映像は圧縮して伝送されます。動画圧縮規格はH.264、転送速度は40-80MB/secの間です。
映像では、その状態で客観的評価を得るためブラインドテストを行っています。小柄な女性でのテストはWireless VRの軽量さが見て取れます。今回使用された「Wireless VR」は初代プロトタイプだそうで、配線むき出しで使われています。
結果は、レイテンシ16ms以下、フレームレート90fps、フル解像度で任意のSteamVRゲームを実行することができたとし、ブラインドテストのユーザーは有線とワイヤレスの区別がほとんど知覚できないだろうと開発者は主張しています。10000mAhバッテリーで2時間以上ゲームをプレイできるとのこと。
ちなみに、「Wireless VR」のコストは150ドル(約1.6万円)だそうです。Quadro M6000は必須ではないとのこと。そして、今のところのボトルネックにデコードを上げていて、さらに遅延を減少するための取り組みやバッテリー持ちの増加などブラッシュアップも行っており、次のステップとしてはクラウドからのストリーミングと述べています。
今回のデモ映像はこちら。
ちなみに、今回と同じくPC向けVRヘッドセットの無線伝送によるワイヤレス・ソリューションでいえば、韓国ベースのClickedが開発するAirVRシステムもあります。こちらも動画圧縮規格H.265によって5GHz帯のWifiで伝送を可能にしています。
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