空中ディスプレイの研究4本

 空中に表示されるデジタルコンテンツをモニターを通さず裸眼で認識できる空中ディスプレイは、これまでいろんなアプローチで研究されてきた。今回はそんな空中ディスプレイの研究を4本ご紹介。

微粒子にレーザー光を当てて表示する立体ディスプレイ

論文:A photophoretic-trap volumetric display

D. E. Smalley, E. Nygaard, K. Squire, J. Van Wagoner, J. Rasmussen, S. Gneiting1, K. Qaderi, J. Goodsell, W. Rogers, M. Lindsey, K. Costner, A. Monk, M. Pearson, B. Haymore & J. Peatross

 本研究は、「Volumetric display(ボリュームメトリックディスプレイ)」と呼ばれ、ほとんど目に見えない小さな粒子の集まりをディスプレイにするものだ。そこへレーザー光を当てることで、空間中にトラップさせる。微粒子を光で空間中にトラップできるわけだ。特筆したいのは、2Dディスプレイではなく、3Dディスプレイであること、つまり、斜め横方向から見ようとも歪んだりせず認識できる。1インチあたり1600ドットまでの画像を生成可能。数ミリメートルの小さな画像しか生成できない。

ガラスビーズを落下させて投影する空中映像投影手法

論文:Glass-beads Display: Evaluation for aerial graphics rendered by retro-reflective particles

Shinnosuke Ando¹ , Kazuki Otao¹,² , and Yoichi Ochiai¹,²
¹ University of Tsukuba, Ibaraki 3058577, Japan ² Pixie Dust Technologies, Inc., Tokyo 1010041, Japan

 本研究は、ガラスビーズを用いて空中に画像を生成するものだ。半面を鏡コーティングしたガラスビーズを用いて、ガラスビーズを制御装置から落下させることでスクリーンを形成し、このスクリーンにプロジェクタからの画像を投影し空中画像を生成する。再帰性反射材の素材として使用するガラスビーズを上から落下させるとランダムな方向に回転する。この特性を利用することで、どの位置から見ても鮮明な画像を観察者に提供できる。

空中に3D画像を投影するライトフィールドプロジェクション技術

論文:A Device for Reconstructing Light Field Data as 3D Aerial Image by Retro-reflection


Kengo Fujii, Kazuki Shimose, Clément Trovato, Masao Nakajima, Toru Iwane, Masaki Yasugi, Hirotsugu Yamamoto
Utsunomiya University, Nikon Corporation

 本研究は、空中に3D像を投影するライトフィールドプロジェクション技術を提案するものだ。ライトフィールドカメラは、カメラのレンズと撮像素子の間に小さなレンズ列を取り付けることで昆虫の複眼のように映像を撮影する技術だ。光が入射する位置と向きを記録できるため、異なる方向から見た映像を再現可能にする。これらを加工し3D画像を形成する。この仕組みと再帰反射シートを用いる空中結像(AIRR: aerial imaging by retro-reflection)とを組み合わせることで、拡大した3D画像を空中に投影することができる。

超音波を用いて空中浮遊させたディスプレイにプロジェクションマッピングする技術

論文:LeviProps: Animating Levitated Optimized FabricStructures using Holographic Acoustic Tweezers

Rafael Morales¹ Asier Marzo² Sriram Subramanian¹ Diego Martinez¹
¹Interact Lab, University of Sussex ²UpnaLab, Universidad Pública de NavarraBrighton, United Kingdom Pamplona, Spain

 本研究は、超音波を用いて空中浮揚させたディスプレイにプロジェクションする技術を提案するものだ。空中浮遊は、超音波アレイと軽量で透明の2D生地、アンカーのポリスチレンビーズで構成される。この構成は、超音波でビーズを浮遊させ、透明の生地はビーズに取り付けてるだけという仕組みで、ビーズを複数浮遊させることで、大きな生地を支えることを可能にする。浮遊するビーズは、同時に移動し回転することで相対的な位置を保持する。つまり、6自由度で浮遊させることができ、またリアルタイムにできることからインタラクティブな制御を可能にする。

 加えて、生地は好きなデザインに形成でき、形成したデザインとアニメーションの入力からビーズの数や最適な位置を計算する。これにより、例えば蝶々のデザインをインタラクティブに浮揚させることを可能にしたりする。さらに、浮遊させた物体に投影することも可能で、空中ディスプレイとして使用できる。例えば、先ほどの蝶々に対して色を投影し、カラフルな蝶々を羽ばたかせることができるといった具合だ。

About

テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア。山下が個人運営と執筆を行う(連載除く)。ITmedia NEWSさんでも執筆中。Seamlessをサポートできるプログラムも実施中。

yamashita.mailer(a)gmail.com

連載

ページ上部へ戻る