早稲田大学、観賞位置ごとに異なる内容を提示したり、同じ観賞位置でも異なる内容を提示できる舞台装置を発表。ペッパーズ・ゴーストに視界制御フィルム付ハーフミラーを統合

早稲田大学の研究チームは、ペッパーズ・ゴーストに視界制御フィルム付ハーフミラーを組み合わせることで、同じ劇場において観賞位置ごとに異なる内容を提示したり、同じ観賞位置でも異なる内容を提示できる舞台装置「Phantazuma」を発表しました。

論文:Phantazuma: 視界制御フィルムとペッパーズゴーストを組み合わせた
観賞者の位置によって異なる内容を観られる舞台機構の試作

著者:千葉一磨, 中山祐之介,  橋田朋子
所属:早稲田大学

本論文は、観賞する位置に応じて異なる内容を見る事ができる舞台装置を提案します。提案手法は、2つの舞台を多重化させる従来のペッパーズ・ゴースト効果に視界制御フィルム付ハーフミラー(ファントミラー)と複数照明の制御を応用し、それぞれの舞台空間を独立に提示させる作用を提供します。観客は、同じ劇場にいながらにして、観賞位置によって演者とゴーストのどちらか一方、あるいは両方の異なる3パターンを並列的に見ることができ、また、ファントミラーの回転により、1箇所の観賞位置でさまざまのパターンを観賞することができます。

本舞台装置を上から見た概略図。AさんとCさんにはGのゴーストのみが提示され、BさんにはゴーストとLの実物体両方が提示される。

本舞台装置は、主舞台とゴースト舞台の間にファントミラーを挿入し、各舞台空間の照明制御やファントミラーの回転制御を行い、観賞者の位置によって異なる内容を提示します。下図では、両舞台の照明が明るく観賞位置が3視点での見え方です。AさんとCさんにはゴーストだけ、Bさんにはゴーストと実物体を提示することができます。

下図では、観賞位置は正面だけで舞台照明の明るさをそれぞれ調整した見え方です。明るくした舞台のみ提示することができます。

次に、下図では、両舞台の照明は明るくしファントミラーを回転させた場合の見え方です。正面という1箇所の観賞位置でありながら、さまざまな組み合わせの内容を提示することができます。

視界制御フィルムはある角度からの入射光のみ拡散させ、それ以外は透過させる特性を持つため、見る角度によって透明・不透明に変化させます。観賞者の目線を0度とし、左右両方向25〜55度ずつ不透明にすることで、正面からは主舞台が透過して視えるが、左右の観賞者からは主舞台が視えなくなります。さらに、フィルム自体を回転させることにより、各位置で観賞できるパターンが切り替わります。

これらのことにより、観客の位置によって同じ舞台を見ながら異なる内容を提示することができ、また、同じ観賞位置でありながら色々な内容を提示することを可能にします。

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