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早稲田大学、2つの異なるオブジェクト群によるアニメーションを同時に提示できる多層立体ゾートロープを発表

早稲田大学 橋田研究室の研究者らは、2つの異なるオブジェクト群による、互いに独立したアニメーションを同時に提示できる多層立体ゾートロープ「Magic Zoetrope」を発表しました。

論文:Magic Zoetrope: Representation of Animation by Multi-layer 3D Zoetrope with a Semitransparent Mirror
著者:Tomohiro Yokota, Tomoko Hashida

本論文は、立体ゾートロープを多層化し、2つの異なるオブジェクト群によるアニメーションを共に提示可能とするシステムを提案します。このシステムでは、フレーム数の異なるアニメーションを同時に提示することが可能です。加えて円板の回転中に2つのアニメーションを切り替える表現や、アニメーション同士の重畳、またはアニメーション同士の位置関係を変化させる表現も実現されます。

従来の立体ゾートロープでは、1枚の円板の上に全てのオブジェクト群が配置され、ストロボライトは円板全体を一様に照らします。そのため、円板上のオブジェクト群を1つのまとまりとした一様なアニメーションのみが提示されてきました。本提案手法では、互いに独立した2つのアニメーションを同時または選択的に提示可能とすることで、システムの運転中にも変化していく立体アニメーションの提示手法を実証します。

本システムは以下の図のように、それぞれ異なるオブジェクト群が配置された同心円状の2枚の円板と、回転する各円板を個別に照らす2つのストロボライト、そして2つのストロボライトを隔てるかたちで2枚の円板の上部に設置された1枚のハーフミラーで構成されます。

ハーフミラーは、ミラーの手前の方が明るいときには鏡として、奥の方が明るいときには透明な板として振る舞います。手前のストロボライトのみを点滅させたときには、ハーフミラーに映った手前のゾートロープが観察されます。奥のストロボライトのみを点滅させたときには、ミラーは透けて奥のゾートロープが観察されます。2つのストロボライトをそれぞれ点滅させたときには、ミラー上では2つのゾートロープが同時に観察されます。

このシステムにより、2つのアニメーションのスイッチングや、フレーム数が異なるアニメーションの同時提示など、従来の手法では不可能だった立体物によるアニメーション表現を実現しました。この他にも、異なるオブジェクト同士の重畳によってアニメーションの色を混ぜる表現や、人形の服のみを後から変更できる着せ替え可能なアニメーションの実現等も期待されます。

制限としては、現在のシステムでは1枚のハーフミラーしか使用していないため、1つの視点からしか見ることができません。さらに、システムを回転軸に対して垂直にハーフミラーを見たときに、外側のオブジェクトによるオクルージョンが生じる問題もあります。今後は、ミラーとストロボ光のペア数を増やし、それらを円板上に円形に配置することによって、多視点からの観測を可能にしたいとしています。