筑波大学とピクシーダストテクノロジーズ株式会社、どの位置から見ても鮮明な空中画像を提供できるガラスビーズを用いた空中映像投影手法を発表

筑波大学とピクシーダストテクノロジーズ株式会社による研究チームは、どの位置から見ても鮮明な空中画像を提供できるガラスビーズを用いた空中映像投影手法(特許出願済)を発表しました。

論文:Glass-beads Display: Evaluation for aerial graphics rendered by retro-reflective particles

Shinnosuke Ando¹ , Kazuki Otao¹,² , and Yoichi Ochiai¹,²
¹ University of Tsukuba, Ibaraki 3058577, Japan ² Pixie Dust Technologies, Inc., Tokyo 1010041, Japan

本研究では、空中画像をレンダリングする新たなアプローチを提案します。空中に画像を投影する従来の研究では、霧を用いたスクリーンガスを用いたスクリーンがあります。しかしながら、Mie散乱による視野の狭さと画像のボケが問題でした。この問題を踏まえ、提案手法では半面を鏡コーティングしたガラスビーズを用います。鏡コーティングしたガラスビーズを制御装置から落下させることでスクリーンを形成し、このスクリーンにプロジェクタからの画像を投影し空中画像を生成します。

(a) 本提案システムの概略図。(b) 実際のプロトタイプ

ガラスビーズは通常、再帰性反射材の素材として使用されますが、本提案のように空中から落下させるとランダムな方向に回転するため、輝度を大幅に下げることなく光をさまざまな方向に鏡面反射する効果が表れます。その為、どの位置から見ても鮮明な画像を観察者に提供できます。下図のように、霧やガスのスクリーンと比較したとき、異なる角度から見ても鮮明な映像が観察できることが分かります。アミューズメントパークのように多くの鑑賞者が空中映像の周囲を取り囲むケースに有効です。

上から、霧、ガス、ガラスビーズ(本提案)のスクリーン上で異なる角度から得られた画像の比較。

本研究は、ガラスビーズを用いて空中像を可視化する新たな方法を提示し、その表示品質、輝度、および視野角を定性評価と定量評価で検証しました。結果として、霧やガスのような従来のスクリーンと比較してより広い視野角、より良い鮮明さ、そしてより高いコントラストを有することを実証しました。

本研究の成果はHCII 2019にて発表されます。

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