電気通信大学、人間がエラ呼吸を体感できる人工エラ呼吸システム「Gill+Man」を発表

電気通信大学の研究チームは、人間がエラ呼吸を体感できるVRと組み合わせた人工エラ呼吸システム「Gill+Man」を発表しました。

論文:Gill+Man: Breathing Through Gills Experience System
著者:Izumi MIZOGUCHI, Takahiro ANDO, Mizuki NAGANO, Ryota SHIJO, Sho SAKURAI, Koichi HIROTA, Takuya NOJIMA
所属:University of Electro-Communications

本論文は、エラ呼吸を体験することができるシミュレーションシステムを提案します。システムは、呼吸感知装置、嚥下感覚提示装置(SSPD)、鰓感覚提示装置(GSPD)の3つの装置を備えており、本来人間には備わっていないエラ機能を使用する感覚を生成します。

そもそもエラがどのように呼吸をするのか。エラに水を通過させることで二酸化炭素を水中に排出し、水中にある溶存酸素の取り込むことで機能します。その際、水を吸入するとエラ蓋が閉まり、吐き出すと開きます。この動作を再現すると共に、水の嚥下感覚を提示するのが本システムです。

嚥下感覚提示装置では、甲状軟骨(のどぼとけ)の上部と下部にアームを有するアクチュエータで喉の皮膚を動かして水を嚥下させる感覚を生成します。鰓感覚提示装置では、エラ蓋の開閉を再現するため、ゲルシートを整備したパタパタ動作するマスクタイプの機器を作成しました。粘着感からくる放出感覚に類似した体験を生成します。

そして、人間の呼吸動作とデバイス動作の同期を必要とするため、吸感知装置を組み込みます。呼吸感知装置は、ウエスト周りに導電性ゴム製のベルトを装着し、腹部の呼吸運動を検出します。これにより、肺呼吸とエラ呼吸の同期を実現します。

上記3つの装置に加え、HMDを通じた海中映像提示により、臨場感を向上させます。これらのことにより、人間がエラ呼吸を体感できる人工エラ呼吸システムを実現しました。

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