HPIなど、視覚障害者向けのVR触覚デバイスを発表。上部ハンドルで自身のアバターを動かし、下部ハンドルで他の物体の動きを知覚

Hasso Plattner Institute(HPI)とウォータールー大学の研究者らは、視覚障害者が仮想空間で移動しながら他の動くオブジェクトを追跡できる触覚デバイス「DualPanto」を発表しました。

論文:DualPanto: A Haptic Device that Enables Blind Users to Continuously Interact with Virtual Worlds
著者:Oliver Schneider, Jotaro Shigeyama, Robert Kovacs, Thijs Jan Roumen, Sebastian Marwecki, Nico Boeckhoff, Daniel Amadeus Gloeckner, Jonas Bounama, Patrick Baudisch

本論文は、視覚障害者向けに、仮想空間と継続的にインタラクションできる触覚デバイスを提案します。

デバイスは、2つのハンドルが互いに向き合うように上下逆さまに取り付けられ、上下のハンドルをそれぞれの手の指でつまんで操作します。各ハンドルは、水平方向に横移動し、つまみは回転します。

上部ハンドルでは、自身のアバターを仮想空間内で移動させるのに使用し、下部ハンドルでは、相手の動きを追跡するのに用います。ユーザは、上部ハンドルで積極的にアバターを動かし、下部ハンドルで受動的に動く他のオブジェクトを知覚します。

上の画像は、上部ハンドルの操作を示します。

  • a:ハンドルを動かすことで仮想空間内を動き回れる(ハンドルを元に位置に戻すとアバターも元の位置に戻る)
  • b:つまみを回しユーザの方向を回転させる(つまみは涙型で尖っている方が前を表す)
  • c:アバターが壁に当たると力覚フィードバックで触覚を生成する
  • d:アバターが何か発射物に当たった場合に軽くノックバックが生成される

上の画像は、上部ハンドル(白)と下部ハンドル(黒)のやり取りを示します。上部ハンドルのつまみの位置で自身の場所と向きを把握し、下部ハンドルのつまみの位置で相手の位置と向きを把握します。上部ハンドルは自分で動かし、下部ハンドルは相手が移動すると動きます。

このように、本触覚デバイスは、上下のハンドルのみで仮想空間内のやり取りを把握し操作することを可能にします。また、触覚フィードバックに加えて、オーディオでもプレイを補填しており、触覚と音を組み合わせることで、より良い体験を提供します。応用のアプリケーションとして、論文内では、ゾンビを倒す一人称視点サバイバルシューティングゲームや、1対1のサッカーゲームが紹介されます。

 

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