ペンシルベニア州立大学やMITなど、透明な液滴にインクや染料を加えず虹色を生成するアプローチを提案。半球液滴の凹面が全反射で色生成

ペンシルベニア州立大学やMITなどの研究チームは、透明な液滴に着色することなく虹色を生成させるアプローチを発表しました。

論文:Colouration by total internal reflection and interference at microscale concave interfaces

著者:Amy E. Goodling, Sara Nagelberg, Bryan Kaehr, Caleb H. Meredith, Seong Ik Cheon, Ashley P. Saunders, Mathias Kolle, Lauren D. Zarzar 
所属:Pennsylvania State University, Massachusetts Institute of Technology, Sandia National Laboratories

本論文は、透明な液滴にインクや染料を加えなくても虹色の構造色(シャボン玉やディスクに見る発色現象)を生成するアプローチを提案します。虹色といえば、太陽の光が空気中の水滴によって屈折や反射をし生成する七色の虹を思い浮かべますが、それとは違い、まず液滴が球体では不可能であるところから説明します。

本提案は、液滴が半球であることを条件に、表面にある半球の液滴、半球でも凹面に単一の光が当たると全反射(入射光が境界面を透過せず、すべて反射する現象)もしくはTIRから構造色を生成する光学効果を用いたアプローチを実証します。全反射は、光ファイバが光を低コストで数キロメートル運ぶことを可能にする効果です。その効果を用いて、サイズ、照明角度、および曲率を調整することで、どんな色になるかを予測し透明な液滴から着色を加えることなく鮮やかな色を作り出すことを可能にします。

具体的には、液滴の凹面に入射した光線たちが、それぞれ数回反射し様々な道を辿り外へ出て合算することで色を生成します。例えば、光線が3回反射すると、2回反射する光線よりも光路が長くなるため、液滴から出る前にわずかに遅れます。この遅れによって2つの光線の波が同相になると、その波長に対応する色が見えます。

色合いは、液滴のサイズや屈折率、曲率などの環境に依存します。研究チームは、様々なサイズ、照明の角度などを実験し、液滴が生成する色を予測するモデルを作成しました。このモデルは、ライトディスプレイ、液滴ベースのリトマス試験、色が変わる化粧品などで活用できるのではとしています。

 

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