Disney Researchなど、人間の歯を忠実にCG再現するアプローチを発表。歯の内部構造を考慮した光学特性を計算

Disney Researchなどによる研究チームは、人間の歯をより現実的にモデル化するために、口腔内の構造をより深く理解した光学特性を計算する手法を発表しました。

論文:Appearance Capture and Modeling of Human Teeth
著者:Zdravko Velinov, Marios Papas, Derek Bradley, Paulo Gotardo, Parsa Mirdehghan, Steve Marschner, Jan Novák, Thabo Beeler
所属:Disney Research, Rheinische Friedrich-Wilhelms-Universität Bonn, Cornell University

Credit:Disney Research

本論文は、人間の歯の外観をデジタル的に再現するために光学特性を計算するシステムを提案します。本提案手法は、これまでの類似研究より歯に対して複雑な光学特性を説明します。

歯に可視光が当った場合、反射、吸収、透過等を計算しますが、より正確に捉えるためには歯の内部構造を理解する必要があります。歯は、概ね散乱特性が非常に異なる2つの材料、エナメル質(Enamel)と象牙質(Dentin)で出来ています。歯の彩度に最も大きな影響を及ぼす象牙質(蛍光性の要因)によって形成され、暑さの異なるエナメルの層(半透明性)で覆われています。そして、歯肉(Gingiva)よって挟まれ支えられます。歯肉も光散乱します。

人間の歯の構造。エナメル質(Enamel)象牙質(Dentin)歯肉(Gingiva)Credit:Disney Research

また、上画像のb)で拡大されているのからも確認できるように、エナメルは、象牙質から表面に向かって伸びるロッドで形成されており、方向毎に性質が変わる異方性素材ともいえ、より複雑にします。最後に、歯は人それぞれ多様な原因(タバコやカフェイン等)で、汚れや亀裂が生じており、またそれらも層として加えられます。

本提案手法は、これら口腔内の複雑な構造を考慮した上で、光学特性を計算します。複数のカメラと照明条件下で口腔内データを取得し、口腔内スキャンからセグメント化された正確なジオメトリを使用します。口腔内スキャンによって得られたジオメトリを使用し、口腔内の光の相互作用のパラメータを推定しシミュレートします。歯の外観を定義する3つのパラメータは、表面反射率および透過率、表面下散乱、および内側象牙質形状です。

口腔内のデータを収集する様子。a) 54種類の光方向下で3つの視点から歯を捉える。b) 口腔内スキャンを行い、ジオメトリを生成する。Credit:Disney Research

これらのことにより、歯の外観を忠実に再現することを可能にします。以下の画像では、左からエナメル質だけを考慮したモデル、エナメル質+象牙質、エナメル質+象牙質+テクスチャ、Referenceを比較しながら確認することが出来ます。

Credit:Disney Research

そして、下の画像が3人の実際の歯の画像と、出力結果を比較したものです。それぞれ、3つの視点(左、中央、右)を比較します。Refが実物で、Fitが出力結果です。

Credit:Disney Research

 

Source: Disney Research

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