東北大学による研究チームは、素早く動く表面に動画をぴったり貼り付けることが可能な高速プロジェクションマッピング法を発表しました。
Shingo Kagami(Graduate School of Information Sciences, Tohoku University)
Koichi Hashimoto(Graduate School of Information Sciences, Tohoku University)
本研究は、キャリブレーションされていないプロジェクタとカメラのペアを使用して、高速で移動するマーカーレスの平面上に動画コンテンツを低遅延でプロジェクションマッピングする投影システムを提案します。プロジェクタは、DMD (Digital Micromirror Device)と呼ばれる微小ミラーからなる空間光学変調素子を用いて映像を生成する機器を用います。
従来の高速プロジェクションマッピング研究の多くは、プロジェクタに対して運動追跡用カメラをあらかじめ精密に位置決めしておく必要があり、設置・維持のコストが大きいという課題がありました。この課題を解決するために、Closed-loop alignment(閉ループ法)というアプローチがあります。これは投影する物体だけでなく投影コンテンツもカメラで追跡し、両者のずれを最小化する処理をオンラインで実行し続ける手法です。しかしながら、投影する物体と投影コンテンツが重なると投影する物体の追跡が妨げられる問題がありました。
この問題を解決するために、本手法は投影コンテンツ中にごく短時間だけ投影する物体の画像追跡用のパターンを埋め込み、そのパターン設計を工夫するアプローチを採用します。これにより、1枚のカメラ画像から投影する物体追跡と投影コンテンツ追跡を分離して行うことで、事前の位置合わせやキャリブレーションを不要とするプロジェクションマッピング手法を実現します。
この手法を採用することで、カメラとプロジェクタ間のキャリブレーションや位置調整を必要とせず、HDMI から入力された投影コンテンツをさまざまなテクスチャを持つ平面上にまるで貼り付いているかのように追従投影することを可能とします。以下の映像では、プロジェクタとカメラを用いて素早く動く表面に投影している様子、そしてカメラのポーズを移動させてもマッピングが乱れない様子を確認できます。