東京大学と南山大学、超音波でより大きな物体(対角線長50mmの正八面体)を浮揚させるアプローチを発表

東京大学と南山大学による研究チームは、超音波を用いて、これまでよりも大きな物体を浮揚させるアプローチを発表しました。

論文:Acoustical boundary hologram for macroscopic rigid-body levitation

著者:Seki Inoue, Shinichi MogamiTomohiro IchiyamaAkihito NodaYasutoshi Makino, Hiroyuki Shinoda
所属:The University of Tokyo, Nanzan University

996個のトランスデューサからなるアレイを下にセットし、直径30mmの発泡ポリスチレン球を200mmの高さで超音波を用いて浮揚させている様子

以前の超音波による遠方場音響浮揚は、浮揚させる物体が小さいものに限られていましたが、本提案手法では、解析的に音場内でのふるまいが記述できない音響波長よりも大きな剛体に対して、静的で安定な浮揚場を生成します。具体的には、静的浮揚場を設計する数値的アプローチ「boundary hologram method」を提案し、超音波フェーズドアレイの入力信号を離散最適化問題で解くことで自律的に安定する力場を生み出し、剛体を超音波で浮揚させます。

実験(上画像)では、全部で1992個のトランスデューサからなるフェーズドアレイ(片面996個を上下にセット)を使用し、対象物は対角線長50mmの正八面体、40kHzの超音波で200mmの高さで浮揚させます。3本のレーザーライン(緑色)は、浮上点で直交する軸を表しています。結果、実験的に証明された浮揚物体重量は、以前に報告された遠方場音響浮揚のそれらより4桁以上大きいことを実証しました。

本研究成果の応用としては、活性の高い物体の固定や、チップマウンター等にみるロボットアームの代替、より高い周波数を用いたナノマシンの駆動などが挙げられます。

 

アーカイブ

ページ上部へ戻る