今回は、無線信号を用いて、壁の向こう側の人を検出する研究を3本ご紹介。
壁で囲まれた部屋内の人数を外側からWiFiを用いてカウントするシステム
論文:Crowd Counting Through Walls Using WiFi
カリフォルニア大学サンタバーバラ校/バークレー校の研究者らは、部屋の中の人(群衆)を部屋の外からWiFiを用いてカウントするアプローチを提案する。
壁で囲まれた部屋の中にいる人の群衆を、Wi-Fiの電波の受信強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を測定するだけで、総数を決定する。壁で囲まれた部屋の外側にWiFi送信機と受信機を配置し、受信強度に基づいて人の数をカウント。
これにより、例えば、データをもとに、冷暖房の調整をしたり、商業店舗のマーケティング調査に利用したり、多方面での活用が期待される。
壁の向こう側の人の姿勢を推定するワイヤレスRF信号を用いたシステム
論文:Through-Wall Human Pose Estimation Using Radio Signals
MIT CSAILによる研究者チームは、ニューラルネットワークを用いて、壁などに隠れる人間のポーズ推定を可能な「RF-Pose」 を提案する。 人が壁の後ろにいる場合でも、無線信号を解析し、正確な人の姿勢を抽出する。
低電力のワイヤレスRF信号(WiFiより1000倍低電力)を送信し、環境からの反射を受信し分析、人間の骨格を推定する。検出は、無線信号を送信できる距離に依存するため、範囲は限定される。(実験では40フィート,約12メートル)
災害現場の捜索救助への応用を期待できるほか、 パーキンソン病、多発性硬化症(MS)、筋ジストロフィーなどの病気を監視し、病気の進行をより理解し、それに応じて医師が薬を調整できるのに活用したり、高齢者の活動パターンの変化を監視するセキュリティとして強化することも期待される。
Wi-Fiを用いて壁の向こう側で歩く個人を誰であるか特定するシステム
論文:XModal-ID: Through-Wall Person Identification from Candidate Video Footage Using WiFi
カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)による研究チームは、Wi-Fiを用いて壁の向こう側を歩行する個人を特定するシステム「XModal-ID」を提案する。
セットアップには、市販のWi-Fiトランシーバーをペア1組だけを使用。 予め同じ人物の映像をインプットしておき、ビデオ内の人が壁の向こう側のWi-Fiエリアにいるかどうかを判断することで個人を特定する。