千葉大学や首都大学東京などによる研究チームは、高品質の3Dホログラフィをビデオとして投影できる専用コンピュータ「位相型 HORN-8」を発表しました。
論文:Special-purpose computer HORN-8 for phase-type electro-holography
著者:Takashi Nishitsuji, Yota Yamamoto, Takashige Sugie, Takanori Akamatsu, Ryuji Hirayama, Hirotaka Nakayama, Takashi Kakue, Tomoyoshi Shimobaba, Tomoyoshi Ito
所属:Tokyo Metropolitan University, Chiba University, Japan Society for the Promotion of Science, Tokyo University of Science, National Astronomical Observatory of Japan
HORN-8によって投影されたビデオからの3Dホログラフィック画像。
A 3D holographic image from a video projected by HORN-8, a special purpose computer developed by Tomoyoshi Ito’s research team.
Credit:Tomoyoshi Ito
本論文では、高画質画像を3D映像としてホログラフィ情報で投影できる「電子ホログラフィ」を可能にするホログラフィ用コンピュータを提案しています。「電子ホログラフィ」とは、3次元映像技術ホログラフィを電子的に制御、動画表示を可能にしたものです。
電子ホログラフィを開発するためには、毎秒10フレーム以上、および1フレーム当たり1兆ピクセル以上の計算能力が必要であり、また、2Dデータから3Dオブジェクトを作成するためには、両眼視差、運動視差、輻輳角、焦点調整などのいくつかの要素を適切に考慮する必要があります。これら課題を解決し、安全かつ高品質な3Dテレビを実現するために、世界中で研究が進められています。
その1つである伊藤智義教授が率いる本研究チームは、1992年にHORNと呼ばれる電子ホログラフィ専用コンピュータの開発を開始し、光の強度を変調して3次元映像を投影する「振幅型 HORN-8」を2018年4月17日にNature Electronicsで発表しました。そして、今回新しく開発した「位相型 HORN-8」では、光の位相を変調するための計算方法を実装し、より高画質な3次元映像の投影を可能にしました。(2018年9月28日にOptics Expressで掲載)
8つのチップを搭載しているHORN-8
HORN-8 has eight chips mounted on a Field Programmable Gate Array (FPGA) board.
Credit:Tomoyoshi Ito
最新のHORN-8では、8つのFPGA(field-programmable gate array)チップが搭載され、複数のHORN-8ボードによるクラスタシステムを構築できます。通信処理と演算処理の効率的な制御により、チップ数に比例した計算性能の向上を実現しています。