NVIDIA Researchら、視線先だけを高画質に描画する「中心窩レンダリング」とフォーカス調整ができる「4Dライトフィールド・ディスプレイ」を統合させた提案を論文にて発表

NVIDIA Research、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校、香港大学の研究者らは、視線先だけを高画質に描画する「中心窩レンダリング(Foveated rendering)」と、フォーカス調整ができる「4Dライトフィールド(4D Light Field)」を表示するディプレイを統合させる提案を論文にて発表しました。

Perceptually-Guided Foveation for Light Field Displays(PDF)

昨今のヘッドマウントディスプレイ(HMD)は、輻輳と焦点距離の不整合問題があるため、酔いなどの視覚的不快感が誘発されます。

解決方法は多数考えられていますが、その中で、光線の位置と方向の4次元で表現する4Dライトフィールド・ディスプレイ方式があります。

物体に合わせてピント位置を調整できることから上記問題のソリューションとして期待されている方式の1つですが、レンダリングコストが高く、現在のレンダリング技術では高品質のコンテンツをリアルタイムに生成することができないのが現状です。

一方で、2D画像では、視線追跡を用いてユーザが見ている箇所だけを高画質に、その周辺を低画質に連続的に描画する技術「中心窩レンダリング」が主流になりつつあり、知覚品質を維持しながら計算コストを削減することを実現しています。

本稿では、そんなフォーカス調整が可能な4Dライトフィールド・ディスプレイ方式と、視線先だけを高画質に描画する中心窩レンダリングを統合することで、一貫性のある奥行き知覚を再現しながら低レイテンシで高品質な4Dライトフィールドクオリティを提案します。

例えば、下図のような描画になります。

(左図:視線は左でフォーカスは奥。中央図:視線は右でフォーカスは奥。右図:視線は右でフォーカスは手前。)

上3枚の図を比べてみると、(a)と(b)とでは同じ焦点面を持っており異なる注視面を持っています。そして(b)と(c)とでは異なる焦点面を持っており同じ注視面を持っています。

本実験では、フル解像度レンダリングと比較して全光線のわずか16%〜30%をトレースするだけで、同様の視覚品質を維持した描画を実証しました。

 

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