英国にあるサセックス大学の「Interact Lab」は、タッチレスインターフェースなどを用いた「Sense of Agency:SoA(自己主体感)」に関する研究を発表しました。
SoAとは
SoAとは、自分自身である行為をしているということを認識する感覚のことで、例えば、何か身体的に運動をする場合、脳で必要な運動モデルが作成され体へ指令を出すのと同時に、実行された場合の身体感覚の予測も行われ、両者がある範囲で一致した時に自分によってなされたのだと感じる。ということをSoAと表現します。
4つのクリックパターン
本研究では、クリックという運動がさまざまな条件下で比較され、ユーザーのSoAにどのように影響するかを調べます。4つのバーションでテストされました。
- 物理キーボードのクリック
- Leap Motionによる空中クリック
- 振動する指サックによるクリック(クリックと同時に振動)
- 超音波による空中触覚フィードバックでのクリック(クリックと同時に超音波振動子アレーによる振動)
1.と2.では、加えてクリックした時に効果音が鳴る「聴覚バーション」と、クリックした時に画面上のボタンが凹む「視覚バージョン」も一緒に実験されました。
結果
結果、視覚バージョンよりも、聴覚バーションの方が効果があること、そして3.と4.のように振動による触覚フィードバックの方が効果があったことを実証しました。視覚効果よりも、「音」と「触覚フィードバック」の方がSoAを向上させてくれるという結果が得られたということです。
(左から「1.+音」、「2.+音」、「1.+視覚」、「2.+視覚」)
(左から「視覚」、「3.」、「4.」)
ただし、1.と2.の差異はそこまで大きくなかったとデータは示します。キーボードを押すという行為と、エアークリックとではそこまでSoAの効果に違いがなかったということです。キーボードを押すという行為は、触覚フィードバックにおいて弱いのかもしれません。
これら結果からVRによるインターフェースを考えた場合どうなるのか。入力した時の効果音、そして入力した時の振動などによる触覚フィードバック、この2つを加えることでSoA(自己主体感)を増加させることが出来るということが示されました。