Facebookは、360°映像のストリーミング配信において、より効率的かつ高品質にすための独自技術「Dynamic Streaming(ダイナミックストリーミング)」の改良版をこの度公開しました。
ダイナミックストリーミングとは
ダイナミックストリーミングとは、同社が1年前に発表した360°動画配信を最適化させる技術で、アクティブな視界内だけ(ユーザーが向いている方向だけ)を高品質に、周囲を低品質にすることによってビデオ全体の品質を最適化させるというものです。
すでにGear VRのOculus Videoアプリに導入され、高品質かつ効率的な配信がなされています。
さて、今回は、同社がそのダイナミックストリーミング技術をブラッシュアップさせた改良版を公開しました。正確には、2つの改良点が加えられています。
可変オフセット・キューブマップによるエンコーディング
1つ目は、「オフセット・キューブマップ」と呼ぶエンコーディングに関するアイディアです。
「オフセット・キューブマップ」とは、キューブマップにおけるカメラ基準位置をずらした位置に配置することで最適化させるレイアウト・アプローチです。
これにより、ユーザーが向いている方向(ビューポート)に多くのピクセルを割り当てることができ、ビューポートの品質を低下させずにビデオ全体の解像度を低下させることを可能としました。
そもそもダイナミックストリーミングというのは、キューブマップ方式をピラミッドに似た形状のレイアウトに展開し組み立てることで360°映像を最適化させた技術で、キューブマップをベースにしています。
さらに、ネットワークの状態に応じて異なるオフセットを使用することも可能とし、ネットワークの状態が変化しても画質を高く保つ(ビューポートはすべて同じ品質を保つ)品質で提供される機能も備わっています。
下の画像では、元の解像度(8.3%)に対して、最大92%ビットレートを低下させていることを示しています。
バッファリング
続いて、2つ目はバッファリングに関することです。
360°ストリーミングを測定するための新しい計算方法を採用し、データの遅延や転送速度によって起きる映像再生の途切れを80%以上減らすことを実現しました。
最大の変更点は、ストリーム品質を計算するために4つではなく6つの要因を検討したことです。
6つとは、解像度、ビデオ品質、現在のビュー方向、ストリームのビューポート方向、オフセットの長さ、視野です。これらの要因を全て取得し、潜在的なストリームの有効な品質を計算し、最適なものを選択することで品質向上を実現させました。