ARを用いて手足切断後の存在しないはずの手足で感じる痛み「幻肢痛」を治療するアプローチ。筋肉信号で仮想アームを動かす

スウェーデンにあるチャルマース工科大学のMax Ortiz Catalan博士は、手足切断後の存在しないはずの手足で感じる痛み「幻肢痛」をARを用いて治療する方法を開発しています。

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腕や脚を失った人は、あたかも手足が欠けているかのように、しばしば幻肢痛を経験します。また、幻肢痛は患者の生活の質を著しく低下させる深刻な慢性状態になり得る事柄でもあり、昔から鍼や鏡、催眠術などのいろんな治療方法がされてきました。今回はARを用いて痛みを軽減させるアプローチです。

今回のアプローチというのは、現実の体に重ね合わせるようにフェイクの手をモニターに映し出すというもので、また切断された手足からの筋肉信号を人工知能アルゴリズムによってリアルタイムで仮想アームの動きに変換し、制御することもします。このことで、患者は腕が紛失した場所の代わりに仮想アームを持つ自分自身を目視することができ、さらに仮想アームを動かすことが可能になります。

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過去の臨床試験では、腕の慢性幻肢痛を持つ14人に約7か月の間セッションを12回受けさせ経過を観察、結果として、最後のセッションでは痛みの強度、頻度、質がおよそ50%減少したと報告しています。

さらに、新たな臨床試験では、脚切断者も含め複数の異なる国の30人以上の患者により多くの治療セッションを提供する予定です。また、このアプローチは、例えば脳卒中、神経損傷または手の損傷の後など、その運動能力を回復させる必要のある他の患者群にも使用できるとも考えています。

将来的には、Microsoft HoloLensを使ってホログラムアームを制御するアプローチも出てくるかもしれません。

東京大学では、以前VRを用いた幻肢痛治療を行い軽減に成功した事例もあります。過去に記事にしていますので、そちらをご覧ください。

 

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