元Oculus(VP of Engineering)、ロングレンジ(長射程)の新たなレーザーベース位置追跡システム「The MEMS Tracking System(MTS)」を披露

元OculusのJack McCauley氏は、新たなポジショナルトラッキングシステム「The MEMS Tracking System(以下、MTS)」の概念証明を披露しました。MTSは、ValveのLighthouseシステムが採用しているレーザーベースを取り入れていますが、Lighthouseとは異なり部屋のエリアに関係なく追跡を可能にし、ユニークな方法でそのレーザーを放ちます。

まず、Lighthouseのレーザーがベースステーションからどのように放たれ部屋全体を一掃しているかを見てください。縦軸と横軸が交互に高速で放たれ部屋を一掃している様子が見て取れると思います。元映像はこちら

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次に、MTSのベースステーションから放たれたレーザーがどういう動きをして、ターゲットを検知しているかの映像です。

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ベースステーションから放たれたレーザーが下から上へ左右に動きながらターゲットとなるマーカーを探してるのが確認できると思います。可視化するとその違いが明白です。もう少し具体的にいうと、Lighthouseはベースステーション内でレンズをモーターで回転させ縦軸横軸と移動させながら放ちます。以下の映像をみてもらえればその様子が分かります。左下から右下、そして右上に2つのローラーが回転してるのが確認できると思います。

 

一方で、MTSはグリッドに固定されていない小さなミラーを使って任意の方向にレーザーを放つ方法を採用しています。真ん中のミラーがぬるぬる柔軟に動きます。

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Lighthouseの場合、すでに製品化までいっているのでその完成度が高いこと留意して欲しいと思います。例えば、検知するまでのスピード、MTSに比べて速い。そして、対角線上2箇所のベースステーションから同等のレーザーが放たれるので、VRヘッドセットやコントローラー側の複数組み込まれてるセンサーが一箇所でも検知できれば追跡する。つまり、隠れるなどの死角がほぼないということ、など。

一方で、MTSは、物陰にマーカーを隠すと検知はなくなりまた探すところから始まります。検知するまでも数秒かかっています。今後の課題といったところでしょうが、他方でマーカーを検知するとそのマーカーをリアルタイムに追跡し、一度検知したマーカーはどんなに速く動かしてもズレない追跡をしていることが確認できます。精度に関しては、Lighthouseも高いので圧倒的な違いというわけではないですが、しかしロングレンジ(長射程)は違います。

実証映像では検知した状態でどんどん後ろに離れていき、ロングレンジでも途切れないことを証明しています。映像では20フィート(約6m)を証明していて、[Lighthouseの推奨は対角線上16フィート(約5m)]McCauley氏いわく、60フィート(約18.2m)でも簡単にトラッキングできると述べます。

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そして広範囲に関しては、OculusがRiftに採用しているカメラベースのトラッキングシステムとも比較しています。Riftのカメラセンサで広範囲をアプローチするには、離れるにつれてフレームレートや解像度を高める必要があり、そのためPCへの負荷がどんどん上がるので難しいとし、一方で、MTSは理論上5フィートでも50フィートでも同じ精度・同じ負荷で追跡することができると。それは、前者がRasterベースで後者がVectorベースだからと言います。McCauley氏は、位置追跡を広範囲でカバーしたいためMTSではRasterベースのカメラ方式ではなくVectorベースを採用したとしています。

さて、実証映像では途中マーカーをGear VRに取り付けてのテストも行っています。一方方向見えてる範囲だけですが、こちらも問題なく検知・追跡を成功させています。モバイルVRヘッドセットへのポジショナルトラッキングは、VR業界にとって大きな課題の1つですのでウリとしては大きいと言えるでしょう。

さらに、McCauley氏は、追跡対象オブジェクトのIMUからのデータと組み合わせると1つのマーカーから完全6自由度トラッキングを実現できるとも述べています。

Jack McCauley氏は、OculusでVP of Engineering(開発現場リーダー)を務めRift DK1 DK2の制作をしていたエンジニアで、2012年Oculusが初めてKcikstarterでキャンペーンをした初期メンバーの1人でもあります。その前は、Guitar Heroシリーズに関わったキャリアも保持しています。今回の実証映像はこちら

 

参考

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