Oculus CTO:John Carmack氏、Gear VRの位置追跡に時間の大半を費やしてると言及。コンピュータビジョンに見るポジショナルトラッキングシステム

Oculus CTO John Carmack氏は、Gear VRのポジショナルトラッキング(位置追跡)に自分の時間のほとんどを費やしてるとTwitter上で言及しました。

Gear VRなどのスマートフォンを差し込んで使用するモバイル向けVRヘッドセットは、Oculus RiftやHTC ViveなどのPC向けVRヘッドセットと違ってヘッドトラッキングが出来ても自分がどこにいるかの位置追跡ができないのが現状です。その分、有線コードやハイスペックなPCを必要としないのがメリットなのですが、そんなGear VRに位置追跡を可能にしようとしているのが今回のツイートから読み取れる事です。

モバイルVRヘッドセットの位置追跡に関して、解決策は今のところ知るかぎりでは2つあります。1つは、Riftなどが採用している外部デバイスの赤外線カメラから検知すること、Valveのトラッキングシステム「Lighthouse」に見るこれも外部デバイスのベースステーションからレーザーで検知する方法です。Lighthouseに関しては、Gear VRを使ってOTOY社が実験をして55%の完成度で成功しています。とはいってもGear VRの上にSteamVRコントローラーを取り付けるという不格好なものですが、詳細に関しては関連記事をご覧ください。

2つ目は、Google「Project Tango」が採用しているコンピュータビジョンを利用した方法です。コンピュータビジョンとは、実世界から取り入れた画像情報を処理して、必要な画像情報を取り出す技術で、Wikipediaには『「ロボットの目」を作る研究分野である』とも書かれてるようにコンピュータに視覚を持たせる技術であります。こちらも、カーネギーメロン大学エンターテイメント テクノロジーセンター(ETC)の大学院生らによるチームGotanが、Project Tangoを用いて位置追跡に近いことをすでに実証しています。

VRヘッドセットDurovisに3Dカメラを搭載したTangoデバイスを取り付けかぶります。ユーザーは、視界が100%VR世界の状態で現実世界をうろうろ歩きまわります。VR世界を見ながら物理世界を歩くわけですが、壁やテーブルなどの物理的障害物にぶつかることはありません。なぜなら、見えてるVR内では3Dカメラでリアルタイムに捉えた障害物の情報をMinecraftのように再構築しているからです。リアルタイムに構築された立方体の集合は障害物を認識させてくれるわけです。体験者がMinecraftの世界を歩きまわっているみたいという感想を多々残しているように、まさにゲームの中を闊歩している感覚を疑似体験できるのです。

GoogleのProject Tangoを使用、物理世界を基準にVR内をMinecraftのようにリアルタイム構築する技術、VR視界でも物理的障害物にぶつからない | 白ペンギン

とはいえ、コンピュータビジョンのプログラムを実行するとバッテリーをとてつもなく消費することから、一般的なGalaxy含めたスマートフォンだと機能しない問題はあるので、Project Tango搭載スマートフォンでないと厳しいのが現実です。その辺りの詳細も過去記事に書きましたので、関連を参照してください。

1つ目は外部デバイスによる検知、2つ目はコンピュータビジョンを採用した検知、どちらのソリューションを採用するのか。John Carmack氏は、今回の言及がGear VRの位置追跡に関して初めてというわけではなく、2014年12月にも同じようなことをツイートしています。「I am working on inside-out position tracking」とツイートしていて、inside out position trackingとは、Gear VRとそのスマートフォンのコアを使用して、3D空間のどこにいるかを正確かつ即座に追跡するためのセンサーを使用することができるという考えを指します。つまりコンピュータビジョン的考え方です。

2015年9月に開催されたOculus Connect 2にてJohn Carmack氏がVRメディアUploadVRから受けたインタビューでも、別の企業から獲得したコンピュータビジョンの専門家を保持していて、全体のバッテリー消費を抑えたinside out tracking systemを作って問題解決をしていきたい。と述べていることからも、2つ目のソリューションを適応してくる可能性が高いと考えます。

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