ドルビー、立体音響技術「Dolby Atmos」搭載ホームシアターサウンドシステムとVRを組み合わせたデモを披露

音声技術などを得意とするDolby Laboratoriesは、CES2016で立体音響技術「Dolby Atmos」とVRを組み合わせたデモを披露しました。Dolby Atmosは、劇場タイプの大型施設でも家庭用としても立体的なサウンドを提供できる立体音響技術です。

最近では、Dolby Atmos対応機器が多数出てきました。通常のホームシアターシステムのように前方左右、後方左右にスピーカーを配置するほか、天井スピーカーを複数配置することでドーム型ともいえる音声空間を作り上げることが可能です。その特性と相性がいいのがVRということで、今回のデモとなりました。Oculus Riftと連携させて、ポール・マッカートニーのライブ「Live and Let Die」を視聴できたと言います。

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VR業界では、人の頭を軸に周囲の音を3D的に収録するバイノーラル式が主流になっているなかで、立体的に出力してくれる仕組みは重宝されます。しかし、ヘッドフォンとHMDの組み合わせが多く、スピーカーにあまりスポットが当てられていないのが現状です。その中で、VRをみんなで楽しむニーズ、もしくはヘッドフォンフリーのニーズに答えるためDolby Atmosのようなホームシアターシステムは最適と言えます。

今回のデモではOculus Riftを使用していましたが、HTC Viveが採用しているSteamVRのトラッキングシステム「Lighthouse」ルームスケールVRとの相性がいいのではと考えます。「Lighthouse」とは、2つのベースステーションを部屋の対角線上、隅上段に配備し、対角線上5mの空間内でVive装着者の動きをトラッキングするシステムです。Oculusと違ってトラッキング範囲が広いという点で、HTC Vive+Dolby Atmosの組み合わせがいい理由です。さらに、ルームスケールVR内で複数のViveが使用できるようになれば、有線問題がありますがみんなでVRを楽しむという点でも優位性が出てきます。HTC ViveはOculusと違ってHMDを受信側にしている仕組みなので、ルームスケールVR内で複数台のViveがトラッキングするマルチプレイは得意とするはずです。さらに、ルームスケールVR外にはみ出ようとするとVive装着者に告知してくれる仕組みを利用して、マルチプレイする相手をVR内で映し出すことをすれば、相手アバターを見ながら、そしてお互い会話をしながら、ポジショナルトラッキングもされて、360°立体サウンドでVR体験ができる。これらシステムが家庭の中で数十万円で構築できてしまうから素敵です。(有線問題ソリューションとしては、OmniのVirtuixが提供するHMDのケーブル管理アクセサリーVR Boom:79ドルというのもあります。)

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Oculusも、パルマーラッキー氏がOculusトラッキングセンサーを使って、ルームスケールVRに近い広さで2台使って実験した結果をツイートしていて可能といえば可能らしいですが、ウリにしていない戦略をとっています。やはり、ルームスケールVRは部屋に何もない空間を対角線上5mで作らなければならないので、単純に購買意欲を下げてしまうトレードオフを懸念しているのかもしれません。一方で、Oculusは、Oculus TouchのデモToy Boxにみる遠隔ユーザーでのリアルタイムなソーシャル性を可能としているので、家族みんなで楽しむ、もしくは業務用としてはHTC Vive+Dolby Atmosで、1人で楽しむにはOculus Rift/Touch+ヘッドフォンとしての使い分けがされるのかもしれません。しかし、家族プレイでいえば、PlayStation VRの方が安価なので、性能はViveが圧倒してますが辛いところではあります。

一方で、業務用としてアーケード的にパブリック提供する場合は、HTC Vive+Dolby Atmosは最適と言えます。現にHTCは中国のネットカフェと提携して一角にVive特設コーナーを設置する計画も立ててるみたいなので、業務用としてのマーケティングが有力かもしれません。

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