MIT、任意のVRヘッドセットを無線にするプロトタイプシステム「MoVR」を発表

MITの「Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory (CSAIL)」は、任意のVRヘッドセットをワイヤレスで使用できるようにする「MoVR」というプロトタイプシステムを発表しました。

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(MoVRデバイスは、クレジットカードの半分以下サイズの2つの「phased-array」と呼ばれる指向性アンテナで構成されています。)

MoVRは、「ミリ波(mmWaves)」と呼ばれる高周波無線信号を使用して、数GbpsでPCと通信することで、WiFiのような既存の無線技術ではサポートできない高度なデータ処理を可能とし、ケーブルレスのVRゲームプレイを実現します。

今回、研究チームはHTC Viveでテストしましたが、どのVRヘッドセットでも動作すると言います。

ミリ波とは

ミリ波とは、周波数帯域が30から300GHzほどの電波のことで、伝送情報容量が非常に多いため昨今では60GHz帯の無線LAN国際規格「WiGig (Wireless Gigabit、ワイギグ、IEEE 802.11ad)」へ用いられ、ハイエンドVRシステムにおいても大容量高速無線通信を可能にするのではと期待されている周波数帯域です。

WiGigは、先日Wi-Fi Allianceが認定プログラムを開始したことでも一部話題になりました。(過去記事参照)5Gスマートフォンへも活用されるのではと考えられています。

ミリ波の弱点を克服

VRの無線化とは、リアルタイムで高解像度のマルチビュー・ビデオをストリーミングする必要、ユーザーが移動している間に6Gbps以上のデータレートを維持する必要があり非常に困難とされています。

その中で、昨今では今回のように高周波を使用したワイヤレス化が研究されていました。しかし、高周波の弱点として、指向性が強く障害物や反射に対応できないというのがあります。受信機と送信機の間に何かがあると接続が継続できない問題です。( VRヘッドセットの前で手をかざすだけで信号を遮断できるレベル)

この課題を克服したのがMoVRで、入力されるミリ波信号の方向を検出し、それをVRヘッドセットの受信機に向けて反映するように再構成するプログラマブルミラーシステムで解決しました。

送信機からの信号を受信し、実際の方向にかかわらずVRヘッドセットに向かって反射するように角度をプログラムすることができるというものです。また、正しい信号方向を2度以内に学習し、角度を正しく設定することができるとも言います。

将来のMoVRハードウェア

研究チームのDina Katabi教授はこう述べます。
「高解像度ワイヤレスVR体験を提供することに一歩近づくことは非常にエキサイティングです。コードレスヘッドセットを使用することにより、バーチャル・リアリティの没入感が深まり、さまざまなアプリケーションが開かれます。」

同チームのOmid Abari氏はこう述べます。
「MoVRハードウェアの将来バージョンはスマートフォンと同じくらい小さくて、ユーザーが1つの部屋に複数のデバイスを置くことができ、これにより、複数の人が互いの信号を遮断することなく同時にゲームをすることが可能になります。」

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