スタンフォード大、VRでの頭の動きを追跡し記録・分析から参加者の「不安」を識別する論文を発表

スタンフォード大学の「VHIL(Virtual Human Interaction Lab)」は、VR空間で参加者のヘッドトラッキングを通じて得た情報から不安度合いを識別する論文を発表しました。

複雑な社会環境でどんな頭の動きをするのかを記録し分析、もとに心理学の観点から不安感含めた精神状態との相関を提示します。

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実験には、大学および大学院にて募集された男性20人女性37人が集まりました。年齢は18-31歳。参加者には、VRオンライン授業の実装テストと言っており、今回の実験内容を知らせていません。

参加者は、ヘッドフォン付きVRヘッドセットそして手首のトラッカーを装着しVR内の教室に人型アバター(生徒)として入り込みます。他の参加者と思い込んでいる自分以外の生徒や先生はすべてコンピュータによって制御されたエージェントになっています。実験サイドで被験者以外のアバターを自由に操作できるということです。

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まずは、被験者に今の環境に慣れさせるための2分間から始めさせ、それからコンピュータサイエンスの授業を10分間受けることをさせます。その後、VRヘッドセットなどの機材を取り外し事後テストへ。その間、頭の動きを記録します。横に振る、縦に振る、回転して横を向く、移動する参加者傾向反映されます。

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結果、上記画像のYawの動きと不安感との相関を確認します。そして、女性の方が不安感を大きく持ちやすいことも確認します。という感じで、VRでの動きと不安感の相関が得られた結果を提示しました。

そして、それはなんらかのカタチで役に立つ可能性を秘めています。教育環境だけでなく他の環境でも活かすことができると考えられると同時に、VR内のトラッキングで人の心理面を数値化できることも分かりました。

VR内の動きという個人情報

先日、本研究を行ったVHILを創設したJeremy Bailenson教授は、VRとユーザーのプライバシーについて言及しました。詳しくは過去記事を参照していただきたいのですが、要するに、VRはミリ単位で個人の動きを追跡し記録することができるがゆえに、それらを分析すると個人の態度や将来の行動を予測することができると危惧しています。つまり、今回の不安度合いみたいに、知らずしらずにトラッキングデータから予測される可能性を秘めていると、そういう側面もあると懸念しているのです。

論文はこちらから読めます。

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